Fラン薬学部は行く意味ある?偏差値BFでも薬剤師を目指せる5つのメリットと注意点【2026年版】

「偏差値がBFと表示されている薬学部に行く意味はあるの?」
「いわゆるFラン薬学部へ進学して、本当に薬剤師になれるの?」
「学費を払ってまで進学する価値があるのか不安」
薬学部を調べていると、このような疑問を持つ高校生や保護者の方も多いのではないでしょうか。
インターネットでは、大学を偏差値だけで判断し、
「偏差値が低い大学は行く意味がない」
「BFの薬学部へ進学しても薬剤師になれない」
と断定する意見も見かけます。
しかし、薬学部の価値を偏差値だけで判断するのは適切ではありません。
薬学部の主な目的は、6年間の教育を通して薬剤師国家試験の受験資格を得て、薬剤師として必要な知識、技能、態度を身につけることです。
最終的に薬剤師国家試験へ合格し、薬剤師として働くことができれば、大学入試時点の偏差値だけでその人の価値が決まるわけではありません。
一方で、「薬剤師免許が取れるなら、どの大学でも同じ」と考えるのも危険です。
薬学部によって、入学後の学習支援、進級基準、卒業率、薬剤師国家試験合格率、学費、特待生制度、研究環境などには大きな違いがあります。
今回の記事のもとになったYouTube動画では、偏差値BFなど、入試難易度が低いと見られやすい薬学部へ進学するメリットとして、次の5つを紹介しました。
・授業のレベルが現在の学力に合いやすいこと。
・学習面のサポートを受けやすいこと。
・特待生・奨学生制度を利用できる可能性があること。
・薬剤師として就職する場合、大学名だけで将来が決まるわけではないこと。
・研究室や大学院進学という選択肢があることです。
この記事では、動画で紹介した5つのメリットを詳しく解説するとともに、進学前に必ず確認してほしい注意点もお伝えします。
結論|Fラン薬学部でも行く意味はある
最初に結論をお伝えすると、偏差値BFなど、入試難易度が低いとされる薬学部にも行く意味はあります。
ただし、誰にとっても無条件で価値があるわけではありません。
薬剤師になりたいという目標が明確で、入学後も継続して勉強する覚悟があり、大学の進級率や卒業率、学費、国家試験実績を確認したうえで進学するのであれば、偏差値が低いことだけを理由に選択肢から外す必要はありません。
反対に、
「簡単に合格できそうだから」
「ほかに受かりそうな大学がないから」
「薬学部に入れば自動的に薬剤師になれると思ったから」
という理由だけで進学するのは危険です。
薬学部では、入学後に化学、生物、物理、薬理学、薬剤学、病態・薬物治療、衛生薬学、法規、実務など、非常に幅広い内容を学びます。
4年次には薬学共用試験、5年次には病院・薬局実習、6年次には卒業試験や薬剤師国家試験があります。
入学試験の難易度が低いことと、大学の授業や国家試験が簡単であることは、まったく同じではありません。
だからこそ、「入れる大学」ではなく、「入学後に自分が学び続け、卒業し、薬剤師になれる大学」を選ぶことが重要です。
そもそもFラン薬学部と偏差値BFは同じ意味なのか
「Fラン大学」という言葉は、インターネット上で広く使われていますが、文部科学省などが定めた正式な大学区分ではありません。
人によって意味が異なり、偏差値が低い大学全般を指す場合もあれば、定員割れしている大学、知名度が低い大学、偏差値BFの大学だけを指す場合もあります。
一方、「BF」は河合塾が大学入試難易度を表示するときに使用している「ボーダー・フリー」の略称です。
河合塾は、前年度の入試結果で不合格者が少なく、合格可能性が50%に分かれる偏差値帯を設定できない場合に、BFと表示しています。
つまり、BFは「教育内容が存在しない」「卒業生の価値がない」「全員が必ず合格する」という意味ではありません。
あくまで、一般選抜の入試結果から合否の境目となる偏差値を算出できなかったことを表しています。
河合塾自身も、ボーダーラインは入試難易度を表すものであり、大学の教育内容や社会的位置づけを示すものではないと説明しています。
したがって、BFという表示だけを見て、その大学の授業、教員、研究、国家試験対策、卒業生の就職先まで否定するのは適切ではありません。
ただし、不合格者が少なく入試難易度を設定できないということは、入学時の学力に幅がある可能性を示しています。
高校範囲の化学、数学、英語に大きな苦手がある状態で入学する学生もいるため、大学側の基礎教育や学習支援が非常に重要になります。
Fラン薬学部のメリット①現在の学力に合った授業を受けやすい
入試難易度が比較的低い薬学部のメリットとして、現在の学力に合わせた基礎教育を受けられる可能性があります。
薬学部を目指しているものの、高校の化学や数学が十分に理解できていない受験生もいます。
難関薬学部では、入学者が高校範囲を一定以上理解していることを前提に授業が進む場合があります。
そのため、基礎学力に不安がある状態で入学すると、大学の専門科目だけでなく、高校範囲の復習も自分で同時に進めなければなりません。
一方、入学者の学力に幅がある大学では、リメディアル教育と呼ばれる高校範囲の学び直しや、基礎科目の補講を設けていることがあります。
化学基礎、生物基礎、数学、英語などを大学入学後に復習し、専門科目へ進むための土台を作れることは、受験時点で基礎に不安がある学生にとって大きなメリットです。
ただし、ここで誤解してはいけないことがあります。
入試難易度が低い薬学部だからといって、薬学部の授業そのものが簡単になるわけではありません。
6年制薬学教育には、全国の大学で共通して取り組むべき内容を示した薬学教育モデル・コア・カリキュラムがあります。
文部科学省の資料では、モデル・コア・カリキュラムは、各大学のカリキュラムのうち約7割を目安とする共通部分として位置づけられています。
基礎薬学、医療薬学、衛生薬学、臨床薬学などを学び、薬剤師として必要な能力を身につけるという最終的な目標は、大学の偏差値によって変わりません。
つまり、授業の最初の段階で丁寧に基礎から教えてもらえる可能性はあっても、卒業までに求められる薬学の内容や薬剤師国家試験の水準が低くなるわけではありません。
基礎から始められる環境を、「勉強しなくても卒業できる環境」と取り違えないことが大切です。
Fラン薬学部のメリット②学習サポートが手厚い場合がある
入学者の基礎学力に幅がある薬学部では、学生を卒業や国家試験合格まで導くため、学習支援に力を入れている場合があります。
具体的には、少人数授業、担任制、チューター制、個別面談、補講、再試験対策、学習計画の作成、講義動画の配信、成績不振者への個別指導などです。
たとえば、薬学部の中には、1学年の人数を抑えた少人数教育や、複数の教員によるチューター制、不得意科目を担当教員が指導する制度、教育センターによる学習支援を特徴として掲げている大学があります。
こうした制度は、分からない内容を自分から質問することが苦手な学生にとって大きな助けになります。
難関大学へ入学したとしても、授業についていけず、誰にも相談できないまま単位を落とせば、進級はできません。
反対に、入試時点の偏差値が高くなくても、教員との距離が近く、学習状況を定期的に確認してもらえる環境で努力を続ければ、薬剤師国家試験合格へ近づけます。
ただし、「サポートが手厚い」と大学案内に書かれているだけで判断してはいけません。
・担任やチューターとの面談が年に何回あるのか。
・成績が下がった学生へ、いつから声をかけるのか。
・補講は無料なのか。
・質問できる時間や場所があるのか。
・国家試験対策は何年次から始まるのか。
・再試験に不合格だった場合、どのような支援があるのか。
オープンキャンパスでは、制度の名前だけでなく、実際の運用方法まで質問してください。
在学生に「授業で分からない部分があったとき、先生へ質問しやすいですか」と聞くのも有効です。
Fラン薬学部のメリット③特待生・奨学生制度を利用しやすい可能性がある
私立薬学部の大きな負担となるのが、6年間の学費です。
薬学部は実験、実習、専門設備などが必要になるため、一般的な私立文系学部よりも学費が高額になりやすい傾向があります。
そのため、大学選びでは偏差値だけでなく、特待生制度や奨学金制度も確認する必要があります。
入試難易度が高くない大学へ、現在の学力よりも余裕を持って受験することで、入試成績上位者として特待生に選ばれる可能性があります。
たとえば青森大学では、2026年度入学者を対象とする薬学部特別学業特待制度として、入試の得点率などに応じ、授業料の全額、半額、30%を免除する制度を案内しています。
第一薬科大学でも、2026年度の薬学部入試において、成績優秀者を対象に初年次70万円を免除する特待生制度が案内されています。
難関大学へぎりぎりで合格し、6年間の学費をすべて支払う場合と、入試難易度を下げた大学で特待生になり、学費を減らして通う場合では、家庭の経済的な負担が大きく変わることがあります。
特に、自宅から通学できる大学で特待生制度を利用できれば、一人暮らしの家賃や生活費も抑えられます。
ただし、特待生制度には注意点もあります。
・入学時の1年間だけ免除される制度なのか。
・6年間継続できる制度なのか。
・毎年の成績審査があるのか。
・何位以内に入る必要があるのか。
・単位を一つ落としただけで資格を失うのか。
・留年した場合はどうなるのか。
特待生として入学できたとしても、継続条件が厳しく、2年次以降は通常の学費へ戻る場合があります。
「最大で授業料全額免除」という言葉だけを見るのではなく、対象人数、免除期間、継続条件まで必ず募集要項で確認してください。
Fラン薬学部のメリット④薬剤師就職では大学名だけで決まらない
薬剤師になるためには、6年制薬学部の課程を修了し、薬剤師国家試験へ合格した後、薬剤師名簿へ登録する必要があります。
どの大学を卒業したとしても、取得する薬剤師免許そのものに大学別の等級はありません。
薬局やドラッグストア、病院などへ薬剤師として就職する場合、出身大学だけで採用のすべてが決まるわけではありません。
薬剤師免許を取得できる見込みがあるか、実習や面接でどのような姿勢を示しているか、患者さんと適切にコミュニケーションを取れるか、希望する勤務地で働けるかといった点も重要です。
そのため、「偏差値の低い薬学部へ進学したら、薬剤師として就職できない」と一律に考える必要はありません。
大学がある地域の病院や薬局とのつながりが強く、地元で長年にわたって薬剤師を輩出している大学であれば、地域就職で強みを持つこともあります。
ただし、大学名が就職にまったく影響しないと断言することもできません。
製薬企業の研究職や開発職など、応募者が多く採用人数が限られる職種では、大学での研究内容、大学院進学、専門性、英語力、研究実績などが重視される場合があります。
大学病院や人気の高い病院では、採用試験の競争もあります。
薬剤師免許を取れば、希望する企業や病院へ必ず就職できるわけではありません。
また、薬剤師の将来については、地域による需要の差も考える必要があります。
厚生労働省の需給推計では、将来的に全国全体で薬剤師の供給が需要を上回る可能性が示される一方、
現時点では地域偏在があり、特に病院を中心に不足感があることも指摘されています。
今後は、「薬剤師免許さえあれば、場所や条件を選ばず必ず高待遇で働ける」と考えるのではなく、
大学在学中から専門性やコミュニケーション能力を高める必要があります。
Fラン薬学部のメリット⑤研究室や大学院進学の選択肢がある
偏差値が高くない薬学部であっても、大学である以上、薬学に関する教育や研究が行われています。
大学によっては、薬理学、薬剤学、有機化学、生化学、衛生薬学、天然物化学、医療薬学、臨床薬学など、さまざまな研究室があります。
高校生の段階では大学の偏差値ばかりに目が向きやすいですが、興味のある研究分野が明確な人にとっては、研究室の内容も重要です。
たとえば、漢方や生薬を深く学びたい人、がん治療薬について研究したい人、薬物動態や製剤について学びたい人、地域医療に関する研究をしたい人では、選ぶべき大学が変わります。
大学院を設置している大学であれば、卒業後に研究を続けることもできます。
また、学部卒業後に別の大学の大学院へ進学する道もあります。
入学した大学の偏差値が、その後の学びの上限を決めるわけではありません。
大学で高い成績を取り、研究活動へ真剣に取り組み、大学院入試の準備をすれば、学部とは異なる大学院へ進学できる可能性もあります。
ただし、研究環境は大学によって大きく異なります。
研究室の数。
教員の専門分野。
研究設備。
学生一人あたりの指導体制。
大学院の有無。
学会発表や論文発表の実績。
外部大学や医療機関、企業との共同研究。
これらを確認せず、「薬学部ならどこでも同じ研究ができる」と考えるのは危険です。
研究職や大学院進学に関心がある場合は、オープンキャンパスで研究室を見学し、教員や在学生へ直接話を聞いてください。
最大の注意点|入学しやすい薬学部でも卒業は簡単ではない
ここまで、入試難易度が低い薬学部へ進学するメリットを解説してきました。
しかし、最も重要なのはここからです。
偏差値BFの薬学部に合格しやすいことと、6年間で卒業しやすいことは別です。
文部科学省が公表した2025年度の調査では、国公私立の6年制薬学部へ2019年度に入学した学生は1万894人でした。
そのうち、標準的な時期に5年次へ進級した学生は8,389人で、5年次進級率は77.0%です。
実務実習を修了した学生は8,215人で75.4%、卒業者は7,374人で67.7%でした。
さらに、2019年度入学者のうち、2025年5月1日時点で薬剤師国家試験へ合格していた学生は6,402人で、入学者に対する割合は58.8%です。
この数字は、入学者の約4割が最終的に薬剤師になれないという意味ではありません。
留年して翌年以降に卒業する学生や、卒業後に再受験して国家試験へ合格する学生もいます。
しかし、「薬学部へ入学した学生のほとんどが、6年間でそのまま国家試験へ合格するわけではない」という事実は理解しておく必要があります。
しかも、この58.8%は全国の国公立大学と私立大学を合計した数字です。
大学別に見ると、5年次進級率、卒業率、入学者に対する国家試験合格者の割合には大きな差があります。
2025年度の調査では、同じ私立薬学部でも、5年次進級率が80%を超える大学がある一方、50%を下回る大学も確認できます。
志望校を選ぶときは、国家試験を受験した人の合格率だけでなく、入学者がどの程度5年次へ進級し、6年間で卒業しているかを確認してください。
薬剤師国家試験の合格率だけでは大学の実態が分からない
2026年に実施された第111回薬剤師国家試験では、受験者1万2,774人のうち8,749人が合格し、全体合格率は68.49%でした。
一方、6年制新卒者は7,781人が受験し、6,711人が合格しています。新卒合格率は86.25%です。
「新卒合格率86%なら、ほとんどの学生が薬剤師になれる」と思うかもしれません。
しかし、新卒合格率の分母に入るのは、その年に卒業して国家試験を受験した学生です。
入学後に留年した人、退学した人、卒業延期になった人、卒業試験を通過できなかった人は、その年度の新卒受験者に含まれません。
たとえば、100人が入学した大学で、6年間で50人が卒業し、そのうち45人が国家試験へ合格した場合、新卒合格率は90%です。
しかし、入学者100人に対して、6年間で国家試験へ合格した人数は45人です。
新卒合格率だけを見ると非常に高く見えますが、入学から合格までの割合は45%になります。
大学選びでは、次の数字を順番に確認する必要があります。
入学者数。
5年次進級者数。
実務実習修了者数。
卒業者数。
国家試験出願者数。
国家試験受験者数。
国家試験合格者数。
これらを確認すると、「入学後にどこで学生数が減っているのか」が分かります。
偏差値BFの薬学部で留年リスクが高くなる理由
偏差値が低い大学だから必ず留年するわけではありません。
一方で、高校範囲の基礎学力が不足した状態で薬学部へ入学すると、留年のリスクが高くなる可能性があります。
高校化学の理解不足が専門科目へ影響する
薬学部では、化学が多くの専門科目の土台になります。
有機化学、分析化学、物理化学、生化学、薬剤学、薬物動態学などでは、高校化学の知識を使います。
モル計算、化学平衡、酸と塩基、酸化還元、有機化合物などが曖昧なまま入学すると、大学の授業を理解するために、高校範囲から戻って勉強しなければなりません。
数学や物理を避けて入学する人がいる
入試方式によっては、数学や物理をほとんど使わずに薬学部へ入学できる場合があります。
しかし、大学では物理化学、薬物動態、統計、濃度計算などで数式を扱います。
入試で使わなかったからといって、入学後も必要ないわけではありません。
試験前の一夜漬けでは対応できない
薬学部は科目数が多く、一科目あたりの試験範囲も広くなりやすい学部です。
高校までは試験直前の暗記で点数を取れていた人でも、複数の専門科目を同時に勉強する大学の試験では対応できなくなることがあります。
再試験が重なると一気に苦しくなる
本試験で不合格になっても、再試験を受けられる大学があります。
しかし、複数科目で再試験になると、短期間で大量の内容を復習しなければなりません。
「再試験があるから大丈夫」と考え、本試験の準備を怠ると、進級できなくなる可能性があります。
Fラン薬学部へ進学する前に確認するべき7項目
5年次進級率
入学した学生のうち、標準的な年数で5年次へ進級した割合を確認します。
5年次は病院・薬局実習へ進む時期です。
5年次進級率が低い場合、1年次から4年次までのどこかで留年する学生が多い可能性があります。
6年間での卒業率
国家試験合格率が高くても、卒業率が低ければ安心できません。
入学者のうち、6年間で何人が卒業しているのかを確認してください。
入学者に対する国家試験合格者の割合
最も実態に近い数字の一つです。
国家試験受験者に対する合格率だけでなく、その学年に入学した人数に対して、何人が標準修業年限で国家試験へ合格したのかを確認します。
進級・卒業基準
必修科目を一つ落としたら留年するのか。
取得単位数で進級判定を行うのか。
卒業試験は何回受けられるのか。
再試験や追試験の条件は何か。
大学の学則や履修要項を確認してください。
6年間の学費と留年時の費用
初年度納入金だけでなく、6年間の総額を確認します。
さらに、実務実習費、教材費、共用試験費、国家試験対策費、交通費などが別途必要になるかも確認してください。
留年した場合に、1年分の学費を全額納める必要があるのかも重要です。
特待生制度の継続条件
入学時に特待生になれても、6年間継続できるとは限りません。
成績順位、取得単位、出席状況、進級状況などの条件を確認します。
就職先と研究環境
就職率だけでなく、病院、薬局、ドラッグストア、製薬企業、行政など、具体的な就職先を確認します。
研究に関心がある場合は、研究室、教員、大学院、共同研究の実績も確認してください。
Fラン薬学部が向いている人
偏差値BFなど、入試難易度が高くない薬学部が向いているのは、まず薬剤師になりたいという目標が明確な人です。
大学のブランドよりも、薬剤師免許の取得や地域医療への貢献を重視している人には、十分に検討する価値があります。
次に、基礎から学び直す覚悟がある人です。
入試時点の学力が高くなくても、大学入学後に毎日勉強し、分からない部分を質問し、補講や学習支援を積極的に利用できる人は成長できます。
特待生制度を利用し、学費を抑えたい人にも向いています。
現在の学力より少し余裕のある大学を選び、入試成績上位者として特待生を目指すことは、合理的な進学戦略の一つです。
また、地元で薬剤師として働きたい人にとっては、地域の病院や薬局とのつながりが強い大学が、偏差値の高い遠方の大学よりも適している場合があります。
Fラン薬学部への進学を慎重に考えたほうがよい人
「勉強はしたくないけれど、薬剤師免許だけ欲しい」と考えている人は、薬学部への進学を慎重に考える必要があります。
薬学部へ入ることはできても、6年間の勉強を続けなければ卒業できません。
化学や生物にまったく興味がなく、実験や実習にも参加したくない人も、入学後に苦しくなる可能性があります。
学費を十分に確認していない人も注意が必要です。
私立薬学部は6年間通うため、学費だけでなく、通学費や生活費も大きな負担になります。
奨学金を利用する場合は、卒業後の返済額まで考えなければなりません。
また、製薬企業の研究職へ進みたい人は、薬剤師国家試験の合格実績だけで大学を選ぶべきではありません。
研究室、大学院進学実績、教員の研究分野、設備などを詳しく確認してください。
入学前に英語・数学・化学の基礎を作っておこう
入試難易度が高くない薬学部へ進学する場合でも、入学前の勉強は必要です。
「合格したから春休みは何もしない」という状態で入学すると、最初の授業からつまずく可能性があります。
英語の入学前学習
英単語は、『ターゲット1900』など学校で配布されている単語帳を使います。
すべてを完璧にすることが難しくても、高校で学んだ基本単語を復習してください。
英文法が苦手な場合は、東進の『レベル別英文法』Lv.1から現在の学力に合ったレベルを使用するか、学校で使っている『Vintage』『Next Stage』などの基本問題を復習します。
薬学部では、専門用語や英語論文に触れる機会があります。
大学入試が終わっても、英語が不要になるわけではありません。
数学の入学前学習
数学が大きく苦手な場合は、『やさしい高校数学』から始めます。
その後、『入門問題精講』『基礎問題精講』へ進み、数式の計算、指数・対数、関数、確率などの基礎を確認してください。
薬学部では、濃度計算、薬物動態、統計などで数学を使用します。
難しい入試問題を解く必要はありませんが、基本計算を正確にできる状態は必要です。
化学の入学前学習
化学は、薬学部入学後に最も影響しやすい高校科目の一つです。
基礎から学び直す場合は、『宇宙一わかりやすい高校化学』と『リードLightノート 化学基礎・化学』を併用します。
参考書を読むだけで終わらせず、必ず問題を解いてください。
学校で『セミナー化学』などを使用している場合は、基本問題を解き直す方法でも構いません。
特に、物質量、濃度、酸と塩基、酸化還元、化学平衡、有機化学の基本を復習しておくと、大学の授業へ入りやすくなります。
偏差値ではなく「薬剤師になるまで」を見て大学を選ぼう
偏差値BFと表示されている薬学部にも、進学する意味はあります。
基礎から学べる授業、少人数教育や個別指導、特待生制度、地域就職、研究室や大学院など、大学によってさまざまなメリットがあります。
薬剤師国家試験へ合格すれば、取得する薬剤師免許に大学の偏差値は記載されません。
入試時点の偏差値だけで、将来のすべてが決まるわけではありません。
しかし、入学しやすい大学だからといって、卒業しやすいとは限りません。
文部科学省の2025年度調査では、2019年度に6年制薬学部へ入学した学生のうち、標準的な時期に卒業した割合は67.7%、2025年5月1日時点で国家試験に合格していた割合は58.8%でした。
だからこそ、大学を選ぶときは、偏差値だけでなく、5年次進級率、卒業率、入学者に対する国家試験合格者の割合、学費、特待生制度、学習支援、就職先を確認してください。
大切なのは、「どの大学なら合格できるか」だけではありません。
「どの大学なら6年間学び続けられるか」
「どの大学なら困ったときに支援を受けられるか」
「どの大学なら家庭の経済状況に合っているか」
「どの大学なら自分が目指す薬剤師に近づけるか」
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偏差値が低いことだけを理由に大学を否定する必要はありません。
一方で、「入れそうだから」という理由だけで決めるのも危険です。
偏差値の先にある6年間と、薬剤師になった後の将来まで見据えて、自分に合った薬学部を選びましょう。
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