薬学部の闇を暴露|国家試験合格率68%・留年・忙しすぎる6年間の実態【2026年最新版】

「薬学部に合格すれば、あとは6年間通うだけで薬剤師になれる」
このように考えている高校生や保護者の方は、意外と多いのではないでしょうか。
しかし、薬学部合格は薬剤師になるためのスタート地点にすぎません。
大学に入学した後には、専門科目の定期試験、実験、レポート、進級判定、薬学共用試験、病院・薬局での実務実習、卒業研究、卒業試験、そして薬剤師国家試験が待っています。
今回の記事を作成するもとになったYouTube動画では、
「薬剤師国家試験の合格率が約68%なのはなぜか」
「東京大学や慶應義塾大学のような難関大学でも国家試験に落ちる人がいるのはなぜか」
「薬学生は本当に忙しすぎるのか」
という、薬学部の表からは見えにくい事情を解説しました。
薬学部には、薬剤師という国家資格を目指せる大きな魅力があります。
その一方で、入学前に知っておかなければならない厳しさがあることも事実です。
ただし、必要以上に薬学部を怖がる必要はありません。
正しい情報を知らないまま進学することが危険なのであって、6年間の流れや大学ごとの違いを理解したうえで進学すれば、入学後のミスマッチは減らせます。
この記事では、2026年に実施された第111回薬剤師国家試験の最新結果や文部科学省の調査をもとに、薬学部に潜む裏事情を詳しく解説します。
薬学部の裏事情を先に結論から解説
薬学部の裏事情について、最初に結論をまとめると次のようになります。
薬剤師国家試験の全体合格率は約68%ですが、その数字だけを見て「新卒者の3人に1人が落ちる」と考えるのは正確ではありません。
2026年に実施された第111回薬剤師国家試験では、全体の合格率は68.49%でした。一方、6年制薬学部をその年度に卒業する新卒者の合格率は86.25%です。
既卒者の合格率は41.33%で、新卒者との差が非常に大きくなっています。既卒受験者が全体の合格率を押し下げているため、「全体68.49%」と「新卒86.25%」を分けて考える必要があります。
また、新卒の国家試験合格率が高い大学であっても、入学した学生全員が6年間で卒業し、国家試験を受験しているとは限りません。
大学選びでは、国家試験を受けた人の合格率だけでなく、5年次までの進級率、6年間での卒業率、国家試験の出願者数と受験者数まで確認する必要があります。
そして、東京大学や慶應義塾大学のように入試難易度が高い大学でも、薬剤師国家試験の合格率が100%になるとは限りません。
大学入試で求められる力と、薬剤師国家試験で求められる知識は同じではないからです。
薬学部は忙しい学部ですが、毎日朝から晩まで勉強だけをして、アルバイトも部活動も一切できないとは限りません。大学、学年、研究室、実習時期、本人の学習習慣によって忙しさは大きく変わります。
つまり、薬学部の実態を正しく理解するためには、一つの数字や一部の体験談だけで判断しないことが大切です。
薬学部に入れば全員が薬剤師になれるわけではない
薬剤師になるためには、原則として6年制の薬学部または薬学科を卒業し、薬剤師国家試験に合格した後、薬剤師名簿への登録を受ける必要があります。
薬学部への合格だけで薬剤師免許が取得できるわけではありません。
また、薬学部には6年制と4年制があります。
6年制は、薬剤師の養成を主な目的とする課程です。病院や薬局で働く薬剤師を目指す場合は、基本的に6年制へ進学します。
一方、4年制の薬科学科や生命創薬科学科などは、創薬研究、生命科学、製薬企業、大学院進学などを想定した課程です。
現在の制度では、4年制薬学部を卒業しただけでは、原則として薬剤師国家試験の受験資格を得られません。
高校生が薬学部を調べるときは、大学名や学部名だけで判断せず、希望している学科が6年制なのか4年制なのかを必ず確認してください。
「薬学部に入ったから薬剤師を目指せると思っていたが、入学した学科は4年制だった」という認識違いは、進路そのものに関わります。
薬剤師国家試験の合格率は本当に68%なのか
2026年2月21日、22日に実施された第111回薬剤師国家試験では、1万2,774人が受験し、8,749人が合格しました。
全体の合格率は68.49%です。
この数字だけを見ると、「6年間も薬学部へ通ったのに、約3人に1人が薬剤師になれないのか」と驚くかもしれません。
しかし、この全体合格率には、その年に初めて国家試験を受ける新卒者だけではなく、過去の試験で不合格になり、再び受験する既卒者も含まれています。
第111回薬剤師国家試験の区分別合格率は、次のようになっています。
6年制新卒者の受験者は7,781人、合格者は6,711人で、合格率は86.25%でした。
6年制既卒者の受験者は4,871人、合格者は2,013人で、合格率は41.33%でした。
旧4年制卒業者や受験資格認定者などの合格率は20.49%です。
新卒者と既卒者では、合格率に40ポイント以上の差があります。
そのため、薬剤師国家試験について説明するときに「合格率は68%です」とだけ伝えると、実態が正しく伝わりません。
受験生や保護者の方が特に確認したいのは、新卒者の合格率と、入学した学生が6年間で国家試験合格までたどり着く割合です。
国家試験の全体合格率が低く見える理由
既卒者の合格率が新卒者より低い
薬剤師国家試験の全体合格率が約7割にとどまる大きな理由の一つが、既卒者の合格率です。
新卒者は、大学の授業、卒業試験、国家試験対策を受けながら、そのまま国家試験に臨みます。周囲にも同じ試験を受ける友人が多く、大学の教材や講義を利用しやすい環境にあります。
一方、既卒者は大学を卒業しており、自分で学習時間を確保しなければならないことがあります。
仕事をしながら再受験する人もいれば、薬剤師国家試験予備校へ通う人、自宅で学習する人もいます。大学在学中と比べて学習環境を整えにくくなるケースもあります。
さらに、一度不合格になった人は、単純に勉強時間が足りなかったとは限りません。
基礎科目に大きな弱点がある、膨大な範囲を整理しきれていない、問題演習の方法が合っていない、試験本番で力を発揮できなかったなど、原因はさまざまです。
その原因を修正しないまま同じ方法で勉強を続けると、翌年も苦戦する可能性があります。
国家試験は薬学の広い範囲から出題される
薬剤師国家試験は、特定の得意分野だけで突破できる試験ではありません。
物理、化学、生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務といった幅広い領域から出題されます。
大学入試では、英語、数学、化学などで高得点を取れば合格できます。しかし、薬剤師国家試験では、大学で6年間かけて学んだ広い範囲を横断して理解する必要があります。
有機化学が得意でも、薬理や病態が苦手であれば合格は安定しません。暗記が得意でも、患者さんの症例をもとに薬物治療を考える実践問題で得点できない可能性があります。
高校時代の得意科目だけで押し切れる試験ではないことが、薬剤師国家試験の難しさです。
合計点だけ取れば合格できるわけではない
第111回薬剤師国家試験では、全問題の得点が426点以上であることに加え、禁忌肢問題の選択数が2問以下であること、必須問題全体で配点の70%以上を取ること、必須問題を構成する各科目でそれぞれ配点の30%以上を取ることが合格条件とされました。
つまり、得意な分野で大量に得点しても、必須問題の特定科目で基準を下回れば不合格になる可能性があります。
薬剤師は、患者さんの健康や命に関わる医療職です。
そのため、薬学の特定分野だけに詳しければよいのではなく、薬剤師として必要な基礎知識を幅広く身につけていることが求められます。
「新卒合格率」と「6年間ストレート合格率」は違う
薬学部選びで最も注意してほしいのが、新卒の国家試験合格率と、入学から6年間で国家試験に合格する割合は同じではないという点です。
新卒合格率は、その年度に大学を卒業し、国家試験を受験した人のうち、何人が合格したかを表します。
たとえば、国家試験を受けた100人のうち90人が合格すれば、新卒合格率は90%です。
しかし、その学年に入学した学生が150人いた場合、50人は留年、休学、退学、卒業延期などによって、その年の国家試験を受けていない可能性があります。
この場合、国家試験合格率だけを見ると90%ですが、入学者150人に対して、その年に国家試験へ合格した人は90人です。
もちろん、国家試験を受けなかった学生の全員が退学したわけではありません。留年した後に卒業し、翌年以降に国家試験へ合格する人もいます。
それでも、受験年度に公表される新卒合格率だけでは、入学者が6年間でどの程度卒業できているのかは分かりません。
文部科学省は、大学ごとに入学者数、5年次進級率、実務実習修了率、卒業率、国家試験合格状況などを公表しています。
2025年度調査でも、これらの数字が大学別にまとめられており、大学によって進級率や卒業率に大きな違いがあることが確認できます。
国家試験合格率が高いだけで安心してはいけない
国家試験合格率が高いことは、大学選びにおける重要な判断材料です。
しかし、その数字だけで大学の教育力を判断するのは危険です。
確認するべきなのは、次の流れです。
・入学した学生のうち、何人が5年次まで進級しているのか。
・何人が病院・薬局実習を修了しているのか。
・何人が6年間で卒業しているのか。
・卒業者のうち、何人が国家試験へ出願しているのか。
・出願者のうち、何人が実際に受験しているのか。
・受験者のうち、何人が合格しているのか。
この流れを確認して初めて、その大学で薬剤師を目指す6年間の実態が見えてきます。
卒業試験は国家試験合格率を上げるためだけのものなのか
薬学部について調べると、「大学が国家試験合格率を高く見せるため、合格できそうにない学生を卒業させない」という話を目にすることがあります。
確かに、多くの薬学部には卒業試験や卒業判定があります。卒業要件を満たさなければ卒業できず、薬剤師国家試験の受験資格も得られません。
ただし、卒業できなかった学生がいるという事実だけで、大学が数字を操作していると断定することはできません。
大学には、薬剤師として必要な知識や能力を身につけた学生を卒業させる責任があります。
十分な知識を身につけていない状態で卒業させ、国家試験に送り出すことが、必ずしも学生のためになるとは限りません。
問題なのは、卒業基準が極端に不透明であったり、入学前に進級や卒業の実態が十分に説明されていなかったりする場合です。
受験生側は、噂だけで大学を批判するのではなく、文部科学省の公開データ、大学の進級規程、卒業要件、在学生や卒業生の話を組み合わせて判断することが大切です。
東京大学や慶應義塾大学でも国家試験に落ちる理由
「東京大学や慶應義塾大学の薬学部に入れるほど頭が良ければ、薬剤師国家試験は簡単に合格できるのではないか」
このように思う人もいるでしょう。
しかし、実際には、入試難易度の高い大学でも薬剤師国家試験の不合格者は出ています。
第111回薬剤師国家試験では、
東京大学は受験者10人のうち8人が合格し、総数の合格率は80.00%でした。
6年制新卒者に限ると、受験者7人のうち6人が合格し、合格率は85.71%です。
慶應義塾大学は受験者155人のうち118人が合格し、総数の合格率は76.13%でした。
6年制新卒者に限ると、受験者137人のうち112人が合格し、合格率は81.75%です。
これらの数字から分かるのは、「難関大学の学生は能力が低い」ということではありません。
大学入試の学力と、6年間の薬学教育を経て国家試験に合格する力は、別のものだということです。
大学入試と国家試験では求められる力が異なる
大学入試では、限られた科目の問題を、決められた時間内で解く力が求められます。
東京大学へ入学する場合は、非常に高いレベルの思考力、記述力、処理力が必要です。
しかし、薬剤師国家試験では、大学で学ぶ膨大な専門知識を整理し、正確に思い出し、症例や実務と結びつけて判断する必要があります。
高校時代に高い学力があったとしても、大学入学後に十分な勉強をしなければ国家試験には合格できません。
反対に、大学入試時点では飛び抜けた偏差値でなかった学生でも、6年間継続して学習すれば国家試験に合格できます。
国家試験対策への取り組み方は大学によって異なる
薬学部には、薬剤師国家試験対策をカリキュラムの中心に置く大学もあれば、研究、基礎薬学、学術的な教育にも多くの時間を使う大学があります。
どちらが無条件に良い、悪いという話ではありません。
将来、病院や薬局で薬剤師として働きたい人と、研究者として創薬研究に携わりたい人では、大学に求める環境が異なるからです。
また、東京大学のように6年制の定員や受験者数が少ない大学では、一人の合否が合格率を大きく動かします。
受験者が10人の場合、一人が不合格になるだけで合格率は10ポイント下がります。
大学別合格率を見るときは、割合だけでなく、受験者数と合格者数も一緒に確認してください。
薬学生は忙しすぎるという噂は本当なのか
結論として、6年制薬学部は、一般的な文系学部と比べると忙しい学部です。
ただし、6年間ずっと同じ忙しさが続くわけではありません。
大学や学年によって、忙しくなる理由が変わります。
1年次は基礎科目と大学生活への適応
1年次には、化学、生物、物理、数学、英語などの基礎科目に加え、薬学概論、医療倫理、コミュニケーションなどを学びます。
高校までの勉強が不十分な場合、大学の授業についていくだけで大変になることがあります。
特に化学は、薬学部で学ぶ多くの専門科目の土台になります。
有機化学、分析化学、物理化学、生化学などは、それぞれ独立した科目に見えても、後の薬剤学、薬理学、薬物動態学などにつながります。
1年次の基礎を曖昧にしたまま進級すると、上級学年で苦労しやすくなります。
一方で、1年次は部活動、サークル、アルバイトなどに比較的取り組みやすい大学もあります。
入学直後から「薬学部だから遊べない」と決めつける必要はありません。
授業へ出席し、定期試験前だけでなく普段から復習する習慣を作ることが重要です。
2~3年次は専門科目と実験が増える
2年次、3年次になると、薬理学、薬剤学、衛生薬学、病態・薬物治療、微生物学、免疫学など、薬学の専門科目が増えていきます。
実験科目も増え、実験後にはレポートの提出が必要になります。
実験は、予定どおりに終わるとは限りません。
操作に時間がかかったり、結果がうまく出なかったりすると、終了時刻が遅くなることもあります。
講義の定期試験と実験レポートの締め切りが重なると、一気に忙しくなります。
この時期に大切なのは、試験直前だけで乗り切ろうとしないことです。
薬学部の試験範囲は広いため、数日間の暗記だけでは対応できない科目が増えていきます。
4年次はCBT・OSCE対策がある
6年制薬学部の学生は、病院や薬局で実務実習を行う前に、薬学共用試験に合格する必要があります。
薬学共用試験には、知識や問題解決能力を確認するCBTと、技能や態度を確認するOSCEがあります。
両方に合格しなければ、原則として実務実習へ進めません。(すなわち即刻留年となります。)
CBTでは、コンピューター上で薬学の幅広い知識が問われます。
薬学共用試験センターによると、CBTでは受験生ごとに合計310問が出題され、受験生によって問題が異なっても、難易度が同程度になるように構成されています。
OSCEでは、調剤、患者対応、情報提供などにつながる技能や態度を確認します。
知識を覚えるだけではなく、実際に手を動かしたり、患者役へ説明したりする練習が必要です。
4年次は、通常の授業や研究室での活動と並行しながら、CBT・OSCEの準備を進めるため、忙しくなりやすい時期です。
5年次は病院・薬局で長期実務実習を行う
共用試験に合格すると、病院や薬局で実務実習を行います。
従来の実務実習ガイドラインでは、病院11週間、薬局11週間を原則とし、合計22週間の実習が行われてきました。
約5か月間にわたり、実際の医療現場で学ぶことになります。
実習中は、決められた時間に病院や薬局へ通うだけではありません。
その日の学習内容を振り返ったり、記録を作成したり、翌日に向けて調べたりする必要があります。
実習先が自宅や大学から遠い場合は、通学時間の負担も大きくなります。
さらに、実習時期によっては就職活動や研究室の活動と重なることがあります。
5年次は、座学中心だった生活から医療現場中心の生活へ切り替わるため、体力的にも精神的にも負担を感じる学生がいます。
6年次は卒業研究・卒業試験・国家試験対策が重なる
6年次は、薬学部生活の集大成です。
卒業研究をまとめ、大学によっては卒業論文の提出や発表を行います。
同時に、卒業試験と薬剤師国家試験の勉強を進めます。
国家試験の範囲は非常に広いため、6年次になって初めて勉強を始めるのでは間に合わないことがあります。
これまで学んだ内容を復習しながら、分野を横断した実践問題にも対応できるようにしなければなりません。
就職先が決まっていても、国家試験に合格できなければ、薬剤師として予定どおり働けない可能性があります。
そのプレッシャーも、6年次が大変だといわれる理由です。
薬学部で留年しやすい人の特徴
薬学部だからといって、必ず留年するわけではありません。
しかし、次のような状態が続くと、進級が難しくなる可能性があります。
授業へ出席せず試験前だけ勉強する
薬学部では、授業の出席が試験の受験資格や単位認定に関係することがあります。
講義だけでなく、実験や実習では欠席が認められにくい場合もあります。
高校まで一夜漬けで定期試験を乗り越えてきた人でも、薬学部の広い試験範囲には対応できないことがあります。
普段の授業を聞かず、試験前に資料を暗記するだけでは、科目数が増えたときに処理しきれません。
基礎科目の分からない部分を放置する
薬学部の科目は、それぞれがつながっています。
化学の基礎が分からなければ、薬の構造や反応を理解しにくくなります。
生物の基礎が分からなければ、薬理作用や病態を理解しにくくなります。
一つの科目で単位を落とすだけでなく、基礎の弱さが複数科目へ影響することがあります。
分からない部分が出た時点で、教員、友人、先輩、学習支援センターなどへ相談することが大切です。
再試験があるから大丈夫だと考える
大学によっては、本試験で不合格だった学生を対象に再試験が行われます。
しかし、再試験があることを前提に勉強するのは危険です。
複数科目の再試験が同じ時期に重なると、短期間で大量の勉強をしなければなりません。
再試験にも不合格になれば、進級できない可能性があります。
最初の定期試験で合格することを基本に考えてください。
一人で抱え込みすぎる
薬学部では、周囲の学生も忙しく見えるため、「自分だけが授業についていけていない」と感じることがあります。
しかし、実際には同じ科目で苦労している学生がいるかもしれません。
早い段階で相談すれば、勉強方法を修正したり、支援制度を利用したりできます。
留年が決まる直前まで一人で抱え込むのではなく、小さなつまずきの段階で助けを求めることが大切です。
薬学部はアルバイトやサークルができないのか
薬学部でも、アルバイトやサークル活動をしている学生はいます。
ただし、一般的な学部と同じ感覚で予定を詰めすぎると、学業との両立が難しくなることがあります。
1年次から3年次までは、授業や実験の時間割を確認しながら、週に数回アルバイトをする学生もいます。
一方、定期試験前、CBT・OSCE対策期間、実務実習中、卒業試験前、国家試験前は、アルバイトを減らしたり休んだりする必要が出てきます。
重要なのは、「薬学部だからアルバイトはできない」と考えることではなく、学年や時期に合わせて働き方を調整することです。
生活費や学費のために一定時間働く必要がある人は、入学前に時間割、実験の終了時刻、実習期間、奨学金制度などを確認しておきましょう。
薬学部の学費だけを計算し、アルバイトでどの程度補えるかを考えていないと、入学後に経済面と学業面の両方で苦しくなることがあります。
後悔しない薬学部選びで確認するべきポイント
薬学部を選ぶときは、偏差値と国家試験合格率だけで決めないでください。
6年制と4年制の違い
薬剤師を目指す場合は、原則として6年制を選ぶ必要があります。
学科名が似ていても、目指せる進路が異なるため、大学公式サイトの学科説明と取得できる受験資格を確認してください。
5年次進級率
入学者のうち、標準的な年数で5年次まで進級できている学生がどの程度いるかを確認します。
5年次は実務実習が行われる時期であり、そこまでの進級状況は大学生活の実態を見る材料になります。
6年間での卒業率
国家試験の新卒合格率が高くても、6年間で卒業できる学生が少なければ、入学から国家試験までの道のりは厳しい可能性があります。
卒業率は、国家試験合格率とセットで確認してください。
国家試験の出願者数・受験者数・合格者数
合格率だけでなく、人数を見ることが大切です。
出願者数と受験者数に大きな差がある場合は、その理由を大学へ確認してもよいでしょう。
受験者数が少ない大学では、数人の合否によって合格率が大きく変わります。
留年時に必要な学費
薬学部は6年間通うため、もともとの学費負担が大きくなりやすい学部です。
留年した場合、授業料や施設費がどの程度必要になるのかも確認しておきましょう。
大学によっては、履修する単位数などによって納入額が変わる場合があります。
学習支援と国家試験対策
成績が下がった学生への補講、個別面談、チューター制度、学習支援センター、国家試験対策講座などを確認します。
制度があるだけではなく、実際にどの学年から、どのような支援を受けられるのかまで調べることが大切です。
実習先と通学環境
病院・薬局実習では、普段通うキャンパスとは異なる場所へ通う可能性があります。
実習先がどのように決まるのか、遠方実習の可能性があるのか、交通費や宿泊費への支援があるのかを確認してください。
オープンキャンパスで在学生の話を聞く
大学のパンフレットには、基本的に大学の魅力が掲載されています。
入学後の大変さを知るには、在学生へ直接質問することが有効です。
「試験前はどのくらい勉強していますか」
「再試験になる学生はどのくらいいますか」
「留年した学生への支援はありますか」
「アルバイトやサークルと両立できますか」
「国家試験対策は何年次から始まりますか」
このような質問をすると、入学後の生活を具体的に想像しやすくなります。
薬学部はやめたほうがいいのか
ここまで読むと、「薬学部は大変そうだから、やめたほうがよいのではないか」と感じるかもしれません。
しかし、薬学部が大変であることと、進学する価値がないことは別の話です。
薬剤師は、薬局や病院だけでなく、ドラッグストア、製薬企業、行政、公衆衛生、学校、研究機関など、さまざまな場所で専門性を生かせる職業です。
薬の知識を通して患者さんの治療を支えたい人、医療チームの一員として働きたい人、医薬品の研究や開発に携わりたい人にとって、薬学部の6年間は将来につながる学びになります。
一方で、「資格が取れれば何でもよい」「理系で進学先が決まらないから」「親に勧められたから」という理由だけで進学すると、入学後に目的を見失う可能性があります。
薬学部進学を考えるときは、次の点を自分に問いかけてみてください。
薬剤師や薬学に興味があるか。
6年間学び続ける覚悟があるか。
化学や生物を避けずに学べるか。
実験や実習へ真面目に参加できるか。
定期試験のために継続して勉強できるか。
私立大学の場合、6年間の学費を準備できるか。
これらを確認し、それでも薬学を学びたいと思えるのであれば、薬学部は十分に目指す価値のある進路です。
薬学部の裏事情を知ってから志望校を決めよう
薬剤師国家試験の全体合格率は、2026年実施の第111回試験で68.49%でした。
しかし、6年制新卒者の合格率は86.25%、6年制既卒者の合格率は41.33%です。
全体合格率だけを見て、「新卒者の3人に1人が落ちる」と考えるのは正確ではありません。
同時に、新卒合格率が高い大学だからといって、入学した学生のほとんどが6年間で国家試験に合格しているとは限りません。
5年次進級率、卒業率、出願者数、受験者数、合格者数を確認する必要があります。
また、東京大学や慶應義塾大学のような難関大学でも、国家試験の合格率が必ず100%になるわけではありません。
大学入試と薬剤師国家試験では、求められる知識や学習方法が異なります。
薬学部は、講義、実験、レポート、CBT・OSCE、約22週間の実務実習、卒業研究、卒業試験、国家試験対策があるため、忙しくなりやすい学部です。
それでも、毎日の授業を大切にし、分からない部分を早めに解決し、計画的に勉強すれば、アルバイトやサークルと両立しながら卒業を目指すこともできます。
薬学部の厳しい部分だけを見て諦める必要はありません。
一方で、偏差値、大学名、国家試験合格率の一つだけを見て、安易に進学先を決めるべきでもありません。
良い情報だけでなく、進級、留年、卒業、国家試験、学費、実習などの現実も知ったうえで、自分に合った薬学部を選んでください。
PharmAssistでは、薬学部を目指す高校生に向けて、志望校選び、受験方式の検討、科目ごとの学習計画作成などを行っています。
薬学部へ進学したいものの、どの大学が自分に合っているか分からない方は、偏差値だけで志望校を決めるのではなく、入学後の6年間まで見据えて考えていきましょう。
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