【高校生の9割が知らない】薬学部のリアル|6年間で大変なこと・楽しいこと・実習・留年・薬学生生活を本音で解説

「薬学部って、毎日どれくらい勉強するの?」
「大学生になったらサークルやバイトも楽しめる?」
「薬学部は留年しやすいって聞いたけど、本当?」
「実習って何をするの?」
「6年間ずっと勉強ばかりなの?」
薬学部を目指している高校生から、こういった質問をもらうことはかなり多いです。
こんにちは。薬学部受験専門塾PharmAssist代表の寺沼香太朗です。
高校生から見た薬学部は、「薬剤師になるために薬について勉強する場所」というイメージが強いと思います。
もちろん、それ自体は間違っていません。
ただ、実際に6年制薬学部へ入ってみると、高校生のときに想像していた大学生活とはかなり違う部分があります。
思った以上に授業が多かったり。
実験が終わらなくて帰る時間が読めなかったり。
定期試験前に何科目もの勉強を同時進行したり。
4年生ではCBTやOSCEがあり、5年生になると病院や薬局で長期間の実務実習を経験します。
そして6年生になると卒業研究や就職活動、卒業試験、薬剤師国家試験の勉強が重なってきます。
これだけを聞くと、
「薬学部、大変すぎない?」
と思いますよね。
実際、大変です。
ここは変にきれいなことだけを言うつもりはありません。
ただ、その一方で、
実験が面白い。
薬の知識がつながっていくのが楽しい。
同じ目標を持つ友達ができる。
白衣を着て実習することで薬学生になった実感が湧く。
病院や薬局で患者さんと接して、薬剤師になる意味が初めて分かる。
研究室で今まで知らなかった世界に触れられる。
といった、薬学部だからこそ味わえる面白さもたくさんあります。
今回は大学案内にはなかなか書かれない、「薬学部に実際に通ったらどんな6年間になるのか」という部分をかなり本音寄りに解説していきます。
なお、この記事では主に薬剤師国家試験の受験資格につながる6年制薬学科を想定しています。
大学によってカリキュラムや進級条件、実習時期、研究室配属のタイミングなどには違いがあるので、細かい制度については志望大学ごとに確認してください。
薬学部に入って最初に驚くのは「意外と大学にいる時間が長い」こと
高校生がイメージする大学生活というと、
「1限がない日は昼から大学へ行く」
「空きコマに友達と遊ぶ」
「授業が終わったらバイト」
「週に何日かは授業が少ない」
というイメージがあるかもしれません。
文系学部などに通っている友達の時間割を見ると、実際にそのような大学生活をしている人もいます。
ところが薬学部では、
「高校の時間割とそんなに変わらなくない?」
と感じることがあります。
特に学年が上がると必修科目が増えやすく、午前中に講義、午後は実験・実習という日も珍しくありません。
もちろん大学によって差はありますが、薬剤師になるために必要な内容が多いため、自由に好きな授業だけ選んで卒業するという学部ではありません。
物理。
化学。
生物。
薬理学。
薬剤学。
衛生薬学。
病態・薬物治療。
法規。
医療コミュニケーション。
実務系科目。
このほかにも多くの分野を学びます。
高校では「化学」「生物」のように科目が分かれていますが、薬学部ではそれらの知識がどんどんつながっていきます。
だから最初のうちは、
「薬剤師になるのに、なんでこんな化学式を覚えているんだろう」
「なんで物理をこんなにやるの?」
と思う人もいます。
でも学年が上がって薬理学や薬物動態、薬物治療などを学び始めると、
「あのとき勉強した内容はここにつながるのか」
と分かってきます。
この瞬間は薬学部の面白さの一つです。
「薬の名前を覚える学部」だと思って入ると結構驚く
薬学部について大きく勘違いされやすいのが、
「薬の名前と作用をひたすら暗記する学部」
というイメージです。
確かに暗記は多いです。
医薬品名、作用機序、副作用、相互作用、疾患、法律など、覚えなければいけないことは大量にあります。
ただ、それだけではありません。
薬の成分がどういう構造なのか。
体内でどう吸収されるのか。
なぜその受容体に作用するのか。
なぜ副作用が起こるのか。
肝臓や腎臓の機能が低下した患者さんでは投与量をどう考えるのか。
同時に飲んでいる別の薬との組み合わせは問題ないのか。
こういったことを、化学・生物・物理・医学を組み合わせながら考えていきます。
そのため、高校化学が好きだった人でも、
「思っていた薬学と違った」
と感じることがあります。
逆に、高校では別々に勉強していた化学と生物がつながっていくことを面白いと感じる人もかなり多いです。
薬学部を志望するなら、
「薬剤師になりたい」
だけではなく、
「薬そのものについて学ぶことに興味を持てるか」
も考えてみてほしいです。
6年間あります。
興味があるかどうかは、想像以上に重要です。
1年生は意外と「普通の大学生」に近い
1年生は、薬学部生活の中では比較的余裕を作りやすい大学が多いです。
一般教養科目が多く、英語や情報、基礎的な化学・生物・物理などからスタートします。
大学によっては早い段階から医療現場の見学や薬学系の実習を取り入れているところもありますが、本格的な専門科目は2年生以降に増えていくケースが多いです。
この時期は、
サークルに入る。
アルバイトを始める。
大学の友達と遊ぶ。
旅行へ行く。
といった、いわゆる大学生活も十分楽しめます。
ここだけ経験すると、
「薬学部って思ったほど大変じゃないじゃん」
と思うかもしれません。
ただし、一つ注意してほしいです。
1年生の基礎科目を適当にすると、後から結構苦しくなります。
薬学は積み上げ型です。
化学が分からないまま薬品化学へ進む。
生物が曖昧なまま生化学や薬理学へ進む。
こうなると、専門科目に入った瞬間につまずきます。
大学受験が終わった開放感で全く勉強しなくなる人もいますが、薬学部ではそのツケが後から回ってきやすいです。
2・3年生になると一気に「薬学生らしく」なる
薬学生から話を聞いていると、2年生や3年生あたりで、
「薬学部に入った実感が一気に出てきた」
という声は多いです。
専門科目が増え、実験や実習も本格化していきます。
白衣を着て実験室に入り、
試薬を量る。
化合物を合成する。
分析する。
細胞や生体について調べる。
実験結果をまとめる。
考察を書く。
という時間が増えてきます。
高校の化学実験とはかなり違います。
高校では先生が用意してくれた手順通りに進めれば、だいたい予定された結果になります。
大学の実験では、当然うまくいかないこともあります。
「あれ?全然違う結果になった」
「なんでこの班だけうまくいかないんだろう」
ということもあります。
そして実験は、授業終了のチャイムが鳴ったから終わり、とは限りません。
反応や測定が終わらなければ帰れない場合もあります。
そのため、
「今日17時からバイトを入れていたのに、実習が終わらない」
ということも起こり得ます。
実習がある時期は、放課後の予定を組みにくい。
これは薬学部に入る前には意外と知らないポイントです。
薬学部で地味に大変なのが「レポート」
高校生から見ると、
「テストが大変そう」
というイメージはあると思います。
ただ、薬学生にとって地味に時間を持っていかれるのが実習レポートです。
実験をしたら、
目的。
原理。
方法。
結果。
考察。
などをまとめます。
大学や科目によって形式は違いますが、単に結果を書けば終わりではありません。
なぜその結果になったのか。
理論上の結果と違う場合、何が原因だったのか。
その操作にはどんな意味があるのか。
などを自分で考える必要があります。
実習で数時間。
帰宅してレポート。
翌日はまた講義。
さらに別科目の小テスト。
こういう週もあります。
薬学部の忙しさは、「授業時間が長い」だけではありません。
授業外でやらなければいけないことが結構多いんです。
定期試験前はかなり独特な空気になる
薬学部の大変さが一番分かりやすく出るのが定期試験です。
大学にもよりますが、専門科目が増えてくると試験科目数も増えます。
そして薬学部は、覚える量がとにかく多い。
高校の定期テストで、
「前日に一気に覚えて何とかする」
という勉強をしていた人は注意してください。
大学では1科目だけなら何とかなっても、それが何科目も重なります。
しかも、
この薬の作用機序。
この酵素。
この疾患。
この化学反応。
この法律。
この計算。
と、科目によって求められるものも違います。
試験直前になると図書館や自習室に人が増えたり、友達同士で問題を出し合ったり、過去問を確認したりします。
薬学生同士で、
「ここ出るらしいよ」
「この先生、去年ここ聞いてる」
「ここ全然分からないから教えて」
と情報交換することも増えます。
ある意味、試験期間の薬学部には独特の一体感があります。
大変ではありますが、友達と一緒に乗り越えた試験は後から振り返ると結構思い出になります。
薬学部では「友達がかなり重要」
もちろん、友達がいなければ卒業できないという話ではありません。
一人で勉強するのが好きな人もいます。
ただ、薬学部では同じ学年の人と関わる場面がかなり多いです。
実習。
グループワーク。
試験。
研究室。
CBT・OSCE対策。
実務実習。
国家試験対策。
6年間、同じ目標に向かって進んでいきます。
薬学部は他学部と比べても、同じ学科の学生と顔を合わせる時間が長くなりやすいです。
その結果、かなり仲良くなる人もいます。
「高校の友達より大学の友達といる時間のほうが長い」
という状態になることも珍しくありません。
特に試験前は、友達の存在に助けられることがあります。
分からないところを教え合ったり。
ノートを見せ合ったり。
問題を出し合ったり。
実習で失敗して落ち込んでいるときに笑い話にしたり。
薬学部の6年間を振り返ったとき、
「勉強は大変だったけれど、友達がいたから楽しかった」
という感想が出やすいのは、こういう理由だと思います。
一方で「6年間同じ人間関係」という難しさもある
これは良い面の裏返しです。
6年制薬学部は長いです。
小学校と同じ6年間です。
しかも学年の人数は大学によって100人前後など、比較的限られたコミュニティになることもあります。
そのため、人間関係が濃くなりやすいです。
気の合う友達ができれば非常に楽しい。
一方で、人間関係でトラブルがあったときに、完全に関係を切って二度と会わないというのが難しい場合もあります。
実習班が同じになるかもしれない。
授業で毎日会うかもしれない。
同じ研究室になる可能性もある。
だからこそ、薬学部では「いろいろな人と適度に付き合える力」も意外と大切です。
薬剤師になると患者さんだけでなく、医師・看護師など多くの医療職と関わります。
大学生活そのものが、コミュニケーションの練習になっている部分もあると思います。
「薬学部は留年する」と聞くけれど、実際どうなの?
薬学部を調べ始めると、
「留年が多い」
「進級が厳しい」
という話を目にすると思います。
これは大学による差が非常に大きいです。
薬学部だから全員が留年しやすい、という単純な話ではありません。
ただし、6年制薬学部は必修科目が多く、進級するために一定の単位や成績を満たさなければならない大学が多いため、他学部のように、
「この単位を落としたけど来年取ればいいか」
で済まないケースがあります。
特定の必修科目を落とすと進級できない。
一定数以上の単位を落とすと留年。
CBT・OSCEに合格しないと実務実習へ進めない。
卒業試験を通過しなければ卒業できない。
など、大学によってさまざまな条件があります。
だから大学選びでは偏差値や国家試験合格率だけを見るのではなく、
ストレート卒業率。
進級率。
留年者数。
退学者数。
卒業要件。
進級条件。
まで確認してほしいです。
「国家試験合格率95%だから安心」
とは限りません。
国家試験合格率は、実際に国家試験を受験した人を分母にした数字です。
入学した学生全員のうち何人が6年間で卒業できたかを示しているわけではありません。
ここは大学選びでかなり重要です。
留年する人は「頭が悪い人」とは限らない
これも高校生には知っておいてほしいです。
大学受験に合格した以上、当然ある程度の学力はあります。
それでも薬学部で苦戦する人はいます。
理由はさまざまです。
大学受験が終わって全く勉強しなくなった。
授業を休みすぎた。
試験前だけで何とかしようとした。
実習やレポートの提出管理ができなかった。
アルバイトを入れすぎた。
サークルや遊びを優先しすぎた。
体調を崩した。
そもそも薬学に興味を持てなくなった。
高校までは毎日先生が、
「宿題やった?」
「次はこのテストだよ」
と管理してくれます。
大学では、自分で管理しなければいけない部分が一気に増えます。
実は薬学部では、学力だけでなく自己管理能力がかなり重要です。
アルバイトはできる?
できます。
実際にアルバイトをしている薬学生はたくさんいます。
塾講師。
家庭教師。
飲食店。
ドラッグストア。
コンビニ。
カフェ。
など、さまざまです。
ただし、「週5でがっつり働きながら余裕で薬学部生活」というのは、学年や大学によってはかなり厳しくなります。
特に実習が増える学年や試験期間は、シフトを減らす必要が出てきます。
午後の実習が何時に終わるか読めない場合もあります。
4年生以降はCBT・OSCEや実務実習もあります。
だからアルバイト先を選ぶなら、
テスト期間に休みを取れる。
シフト変更に比較的対応してもらえる。
大学から近い。
自宅から近い。
といった条件も意外と重要です。
大学生活でお金を稼ぐことも大切ですが、アルバイトが原因で進級できなくなったら本末転倒です。
サークル・部活・恋愛は普通に楽しめる
ここまで大変な話が続いたので、
「薬学部って大学生活ゼロなの?」
と思った人もいるかもしれません。
そんなことはありません。
サークルや部活に入っている学生も多いです。
大学祭もあります。
飲み会に行く人もいます。
旅行へ行く人もいます。
恋愛する人もいます。
長期休暇に遊ぶこともできます。
薬学部だから6年間ずっと机に座っているわけではありません。
むしろ、忙しいからこそ予定を合わせて遊んだときがすごく楽しかったりします。
試験が全部終わった日の開放感は、薬学生だからこそ分かるものがあります。
友達と、
「終わった!」
と言ってそのままご飯に行く。
長い実習期間が終わって旅行に行く。
研究室のメンバーで飲みに行く。
そういった時間も薬学部生活の一部です。
大切なのは、遊ばないことではありません。
「勉強するときは勉強する。遊ぶときは遊ぶ」
という切り替えです。
4年生になるとCBTとOSCEがやってくる
6年制薬学部の大きなイベントの一つが、4年次に行われる薬学共用試験です。
薬学共用試験には、
CBT
OSCE
の2つがあります。
この両方に合格することが、病院や薬局で実務実習を始めるための条件になります。
CBTはパソコンを使って知識や問題解決能力を確認する試験です。
現在は合計310問が出題され、これまで学んできた薬学の幅広い知識が問われます。
4年間勉強してきた内容をまとめて確認するようなイメージなので、
「範囲広すぎない?」
となります。
一方のOSCEは、知識だけではありません。
患者さんへの対応。
薬剤の調製。
調剤鑑査。
無菌操作。
情報提供。
など、薬剤師として必要になる技能や態度を実技形式で評価します。
模擬患者さんを相手に話す課題などもあります。
高校まで、
「テスト=紙に答えを書くもの」
だった人からすると、かなり新鮮です。
初めて練習すると、
「頭では分かっているのに、実際に人を前にすると言葉が出てこない」
ということもあります。
何度も練習して自然に話せるようにしていきます。
この時期になると、「薬剤師になるための勉強をしている」という実感が一気に強くなります。
5年生は薬学部生活が大きく変わる
CBTとOSCEを突破すると、いよいよ実務実習です。
6年制薬学教育では、病院と薬局を合わせて連続性のある22週間の実務実習が基本になっています。
病院で約11週間。
薬局で約11週間。
およそ5か月です。
ここでは大学の教室ではなく、実際の医療現場で学びます。
調剤。
服薬指導。
医薬品情報。
病棟業務。
無菌調製。
患者さんとのコミュニケーション。
地域医療。
など、さまざまな経験をします。
もちろん、薬学生はまだ薬剤師ではありません。
指導薬剤師の監督のもとで実習します。
でも高校生のころから、
「薬剤師になりたい」
と思っていた人にとっては、かなり印象に残る時期です。
患者さんを目の前にすると、
「この薬を間違えたらどうなるんだろう」
「自分が覚えてきた知識って、人の命につながっているんだ」
という感覚が現実になります。
大学で何年間も勉強してきた薬理学や薬物治療の知識が、実際の処方につながる瞬間もあります。
「この薬、授業でやった」
という経験が増えていきます。
ここは薬学部の大変さだけを見ている高校生にぜひ知ってほしい部分です。
薬学部の勉強には、ちゃんとその先があります。
実務実習は「楽しい社会科見学」ではない
一方で、実習は遊びではありません。
朝から医療機関へ行き、基本的には社会人に近い生活になります。
患者さんに関わる以上、当然責任もあります。
実習後に記録を書いたり、課題をまとめたり、症例について調べたりすることもあります。
慣れない環境なので、最初は精神的にも体力的にも疲れる人がいます。
大学の授業なら多少眠くても席に座っていれば時間は過ぎます。
医療現場ではそうはいきません。
患者さんがいます。
薬剤師さんがいます。
ほかの医療職も働いています。
時間を守る。
挨拶をする。
分からないことを調べる。
適切に報告する。
こうした社会人として基本的なことも求められます。
勉強ができるだけでは通用しない。
これも5年生で気づくことの一つです。
「薬剤師になりたい理由」が実習で変わる人もいる
高校生のときは、
「家族が薬剤師だから」
「資格があれば安定しそうだから」
「化学が好きだから」
という理由で薬学部を選ぶ人もいます。
それ自体が悪いわけではありません。
18歳で将来を完全に決めるのは難しいです。
でも5年生の実習で実際の患者さんと関わると、薬剤師という仕事の見え方が変わる人がいます。
病院薬剤師になりたいと思う人。
薬局で地域の人と長く関わりたいと思う人。
在宅医療に興味を持つ人。
がんや感染症など特定領域に興味を持つ人。
研究のほうが面白いと気づく人。
製薬企業へ行きたいと考える人。
大学へ入った後に進路が変わるのは普通です。
薬学部の良いところの一つは、6年間の中でいろいろな薬学の世界を見てから進路を考えられることだと思います。
研究室配属も薬学部生活の大きなイベント
薬学部では、学年が上がると研究室へ所属して卒業研究を行います。
配属時期は大学によって違います。
研究内容も非常に幅広いです。
有機化学。
天然物。
薬理学。
免疫。
感染症。
がん。
薬物動態。
製剤。
医療薬学。
衛生薬学。
など、一口に「薬学」と言っても全く違います。
研究室によって雰囲気もかなり違います。
朝から夕方まで実験をする研究室。
自分でスケジュールを組みやすい研究室。
学会発表に積極的な研究室。
大学院進学者が多い研究室。
臨床研究を中心にしている研究室。
大学選びでは入試科目や国家試験合格率ばかりを見がちですが、入学後の満足度を考えるなら研究室も見てほしいです。
研究が好きな人にとっては、大学生活で一番楽しい時期になることもあります。
今まで教科書に書いてある「すでに分かっていること」を勉強してきた学生が、初めて「まだ答えの分からないこと」に挑戦するからです。
実験が成功した瞬間はかなり嬉しい。
一方で、何週間やっても結果が出ないこともあります。
研究は、思った通りにならないことも含めて研究です。
6年生は「大学生」と「受験生」の間のような一年
そして6年生。
ここまで来ると、
「もう卒業じゃん」
と思うかもしれません。
ただ、薬学生にとって最後の一年はかなり濃いです。
卒業研究。
卒業試験。
就職活動。
国家試験対策。
大学によってはこれらが重なります。
特に薬剤師国家試験が近づいてくると、大学全体が受験モードになっていきます。
高校3年生の大学受験を思い出すような生活になる人もいます。
朝から大学へ行って勉強。
友達と問題を解く。
分からない範囲を復習する。
模試を受ける。
間違えたところを覚え直す。
そしてまた勉強。
18歳で大学受験を終え、
「もう受験勉強は終わった!」
と思った約6年後、もう一度大きな試験が待っています。
これが薬学部です。
それでも薬学部の6年間には面白さがある
ここまで読むと、
「薬学部、きつい話ばっかりじゃん」
と思ったかもしれません。
でも薬学生の話を聞いていると、必ずしも「大変=嫌だった」ではありません。
むしろ、
「あの試験期間は本当にきつかったけど、今思えば楽しかった」
「実習は大変だったけど、患者さんと話した経験が一番印象に残っている」
「研究室のメンバーと夜まで実験したのが思い出」
という話もあります。
薬学部の楽しさは、毎日暇で自由という楽しさとは少し違います。
同じ目標を持つ友達と大変なことを乗り越える楽しさ。
自分の知識が増えていく楽しさ。
薬について少しずつ分かるようになる楽しさ。
高校生のころ憧れていた医療現場に実際に立つ楽しさ。
こういう種類の楽しさがあります。
薬学部に入って良かったと感じやすい瞬間
薬学生が「薬学部に来て良かった」と感じやすいのは、意外と日常の小さな瞬間です。
例えば、家族から、
「この薬ってどういう薬?」
と聞かれて答えられたとき。
ドラッグストアで薬を見て、
「これ授業でやったやつだ」
と思ったとき。
ニュースに出てくる医薬品の仕組みが分かったとき。
病院実習で授業で学んだ薬が実際に使われていたとき。
患者さんから話を聞き、自分なりに考えられたとき。
最初は意味不明だった専門用語が普通に理解できるようになったとき。
入学したころと比べると、自分の中にかなりの知識が積み上がっています。
6年間は長いですが、その分だけ成長を実感できる学部でもあります。
薬学部に向いているのは「頭がいい人」だけではない
薬学部志望者から、
「自分は頭が良くないから薬学部についていけますか?」
と聞かれることがあります。
もちろん大学入試を突破する学力は必要です。
ただ、入学後にかなり大切なのは、
コツコツ続けられること。
提出期限を守れること。
分からないことをそのままにしないこと。
試験直前だけに頼らないこと。
周りに質問できること。
自分で予定を管理できること。
です。
薬学部は短期間で一発逆転するというより、6年間少しずつ積み上げる学部です。
高校の定期テストでも、
「毎回90点を取る天才タイプ」
だけが向いているわけではありません。
普段から宿題をして、分からないところを直して、テスト前にきちんと復習できる人。
こういう人は薬学部でも強いです。
逆に「資格が取れるから」だけで選ぶと苦しくなる可能性がある
ここは少し強めに伝えておきたいです。
薬学部を、
「薬剤師って安定してそう」
「国家資格だから何となく」
「親に勧められた」
という理由だけで決めるのは、一度考えてみてください。
もちろん、それが志望するきっかけでも構いません。
ただ、その状態のまま6年間を走り切るのは簡単ではありません。
授業。
実験。
レポート。
試験。
CBT。
OSCE。
実務実習。
研究。
国家試験。
これだけ長い道のりがあります。
途中で大変なことがあったとき、
「自分はなぜ薬学部にいるんだろう」
と思う瞬間が来るかもしれません。
だから高校生のうちに、
薬に興味があるのか。
医療に興味があるのか。
人と関わる仕事をしたいのか。
研究をしてみたいのか。
薬剤師の仕事のどこに魅力を感じるのか。
を少しずつ考えてみてください。
完璧な志望理由を作る必要はありません。
ただ、「何となく資格が取れそう」という状態から一歩進んでおくことは大切です。
オープンキャンパスでは「きれいな校舎」以外も見てほしい
これから薬学部のオープンキャンパスへ行く高校生は、ぜひ確認してほしいことがあります。
講義室。
実習室。
研究設備。
図書館。
自習スペース。
学生食堂。
在学生の雰囲気。
先生と学生の距離感。
研究室。
国家試験対策。
進級条件。
ストレート卒業率。
実務実習のサポート。
こうした部分です。
特に可能なら、在学生に、
「一番大変なことは何ですか?」
と聞いてみてください。
大学の先生から聞く説明とはまた違う答えが返ってくることがあります。
「テストですね」
「実習レポートです」
「2年生が一番きつかったです」
「意外とバイトできますよ」
など、大学ごとのリアルが分かります。
大学選びは6年間の生活を選ぶことでもあります。
偏差値だけで決めないでください。
薬学部は大学によって「6年間の過ごし方」がかなり違う
同じ6年制薬学部でも、大学によって特色はあります。
研究に力を入れている大学。
国家試験対策が手厚い大学。
低学年から臨床現場に触れられる大学。
附属病院を持つ大学。
少人数教育を重視する大学。
企業就職にも強い大学。
キャンパス内に複数の医療系学部があり、多職種連携教育を行う大学。
だから、
「偏差値が一番高い大学=自分に一番合う大学」
とは限りません。
薬学部を選ぶときは、
入試難易度。
学費。
国家試験合格率。
ストレート卒業率。
研究内容。
実習環境。
立地。
就職実績。
学生生活。
まで含めて比較してください。
6年間通う場所だからこそ、合格できる大学だけではなく、通いたい大学を探すことが大切です。
高校生のうちにやっておいてほしいこと
薬学部へ入ってからの勉強を考えると、高校時代に特に大切なのは英語・数学・化学・生物または物理の基礎です。
特に化学。
薬学部へ入れば、化学から完全に逃げることは難しいです。
今、
「化学が苦手だけど、暗記で入試だけ突破すればいい」
と思っているなら、少し考え方を変えてください。
大学でも使います。
だから受験勉強では、
答えを暗記する。
ではなく、
なぜその反応になるのか。
なぜその式を使うのか。
まで理解する癖をつけておくと、入学後にも役立ちます。
そしてもう一つ。
勉強を習慣化しておいてください。
薬学部ではテスト前の一夜漬けだけでは厳しくなる場面があります。
高校生のうちから毎日少しでも机に向かう習慣を持っている人は、大学へ入ってからも強いです。
薬学部は大変。でも「大変だからやめたほうがいい」わけではない
薬学部について検索すると、
「留年」
「国家試験」
「きつい」
「大変」
という言葉がたくさん出てきます。
確かに、大変な部分はあります。
それを隠して、
「薬学部は楽しいよ!資格も取れるよ!」
だけで勧めるのは違うと思っています。
でも反対に、
「薬学部は大変らしいからやめよう」
と決めるのも、僕はもったいないと思います。
どんな学部にも大変なことはあります。
重要なのは、
「その大変さの先に、自分がやりたいことがあるか」
です。
薬について深く学びたい。
薬剤師として患者さんを支えたい。
新しい薬を作りたい。
病院で医療チームの一員として働きたい。
地域の人に頼られる薬剤師になりたい。
そう思えるなら、薬学部の6年間は十分挑戦する価値があります。
高校生に一番伝えたい薬学部のリアル
薬学部は、
楽な学部ではありません。
でも、毎日勉強だけをして青春が終わる場所でもありません。
授業もあります。
実習もあります。
大量のテストもあります。
レポートに追われる日もあります。
友達と遊びます。
サークルにも行きます。
アルバイトもします。
研究室で失敗します。
試験に受かって喜びます。
病院や薬局で初めて患者さんと話します。
そして6年間かけて、少しずつ薬剤師に近づいていきます。
高校生のときに想像している「大学生活」とは少し違うかもしれません。
でも、その違いも含めて薬学部です。
大変なことだけを見て怖がる必要はありません。
反対に、薬剤師という資格だけを見て簡単に決めるのもおすすめしません。
薬学部を志望しているなら、
「どんな入試なのか」
だけでなく、
「合格した後、自分はどんな6年間を過ごすのか」
まで想像して大学を選んでみてください。
受験は大学に入るためのゴールではありません。
その大学で始まる6年間への入口です。
だからこそ、偏差値や合格可能性だけでなく、その先の学生生活まで知ったうえで、本当に行きたい薬学部を選んでほしいと思います。
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