オンライン塾の生徒に初めて会いに行った日|画面越しでは分からなかったこと

今回は、いつもの薬学部情報や受験対策の記事とは少し違う内容です。
偏差値の話もしません。
おすすめの参考書も紹介しません。
大学ごとの入試方式を比較するわけでもありません。
今回は、僕が普段オンラインで指導している塾生に、初めて直接会いに行った日のことを書こうと思います。
僕が運営している薬学部受験専門塾PharmAssistは、基本的にオンラインで指導をしています。
そのため、生徒とは毎週話していても、実際には一度も直接会ったことがない、ということが普通にあります。
顔は知っています。
声も知っています。
得意科目も苦手科目も知っています。
どんな問題になると手が止まりやすいかも知っています。
模試の結果が良かったときの反応も、思うようにいかなかったときの反応も知っています。
それでも、直接会ったことはない。
オンライン塾を運営していると、そんな少し不思議な関係がたくさん生まれます。
今回、そんな塾生の一人に、実際に会いに行く機会がありました。
動画にもその日の様子を残していますが、この記事では動画の内容をそのまま文字起こしするのではなく、あの日に僕が感じたことを改めて文章にして残しておこうと思います。
オンラインで毎週会っているのに「初対面」
改めて考えると、不思議な感覚でした。
オンラインでは何度も顔を合わせています。
Zoomを開けば、いつものように生徒がいて、授業が始まります。
「今週どうだった?」
「学校のテストどうだった?」
「化学のここ、まだちょっと怪しいね」
「数学は前よりかなり良くなってきたね」
そんな会話を何度もしています。
LINEでも日々の勉強状況を確認しています。
だから僕の中では、「初めまして」という感覚はあまりありません。
でも、直接会うのは初めてです。
画面の中でしか見たことがなかった人が、自分の目の前にいる。
これが思っていた以上に新鮮でした。
普段オンラインで生徒と関わっていると、僕自身はかなり近い距離で接しているつもりです。
勉強のことだけではなく、学校のことや、受験への不安、その時期に考えていることも話します。
それでも、やっぱり実際に会うと違いました。
身長もそうですし、話すときの雰囲気もそうです。
画面では切り取られていた部分が、一気につながったような感覚がありました。
「あ、本当にこの子が毎週あの画面の向こう側で頑張っていたんだな」
そんな当たり前のことを、改めて実感しました。
オンライン塾を始めた頃は、ここまで生徒と関われると思っていなかった
僕自身、オンラインで塾をやるようになった当初から、すべての答えが見えていたわけではありません。
オンライン指導には明確なメリットがあります。
住んでいる地域に関係なく指導を受けられる。
薬学部受験に詳しい先生が近くにいなくても、全国から授業を受けられる。
移動時間がない。
保護者の方に毎回送迎してもらう必要もありません。
特に薬学部受験は少し特殊です。
一般的な大学受験の情報だけではなく、
どの薬学部が自分に合っているのか。
国公立と私立で何が違うのか。
薬剤師国家試験の実績はどうなのか。
6年間の学費はいくらなのか。
総合型選抜や学校推薦型選抜を利用するべきなのか。
一般選抜ではどの科目をどのレベルまで勉強するべきなのか。
小論文・面接などの特殊な選抜内容の対策方法など。
こういった薬学部特有の情報が必要になります。
だから、住んでいる場所に関係なく薬学部受験に特化した指導を受けられるオンライン形式には、大きな意味があると思っています。
一方で、オンラインには弱点もあると思っていました。
「直接会わない中で、本当に生徒との関係は作れるのか」
という点です。
塾は、参考書を指定して終わりではありません。
問題の解き方を教えて終わりでもありません。
生徒が勉強を続けられないときもあります。
模試でE判定を取って落ち込むこともあります。
学校の先生から厳しいことを言われることもあります。
友達が推薦で進路を決め始めて、自分だけが取り残されたように感じる時期もあります。
そんなときに、
「来週までこれをやっておいて」
だけで人は動けません。
だからオンラインであっても、生徒との関係はすごく大事だと思っています。
今回実際に塾生に会ってみて、その考えはより強くなりました。
僕が普段見ているのは「成績」だけではない
塾なので、当然ながら成績は見ます。
偏差値も見ます。
模試の点数も見ます。
過去問の点数も見ます。
薬学部へ合格するために必要な点数から逆算して、
「今どこまでできているのか」
「あと何点必要なのか」
「そのために今月何をするのか」
を考えます。
これは塾として当たり前の仕事だと思っています。
でも、実際に指導していると、それだけでは足りません。
たとえば同じ偏差値45の生徒でも、状況はまったく違います。
勉強時間は取れているけれど、勉強方法が間違っている子。
勉強法は悪くないけれど、そもそも勉強時間が足りない子。
英語だけ極端に苦手な子。
数学はできるけれど化学が追いついていない子。
部活動が忙しく、平日にほとんど時間が取れない子。
全員に、
「偏差値45だから、この参考書をやろう」と言っても上手くいきません。
その生徒が今どういう状態なのかを見る必要があります。
オンラインで指導している僕たちにとって、ZoomやLINEはそのための大切な接点です。
でも、今回実際に会って話したことで、
「僕たちは画面越しでも一人の高校生の人生に関わっているんだ」
ということを、改めて強く感じました。これは当たり前なんですけどね。
でも、日々仕事をしていると、どうしても数字に追われます。
何人合格したのか。
偏差値がどれくらい上がったのか。
今月の問い合わせは何件なのか。
YouTubeが何回再生されたのか。
塾を運営する以上、そういった数字を見ることも必要です。
それでも、数字の向こう側には必ず一人ひとりの生徒がいます。
今回の一日は、それを改めて思い出させてくれる時間でした。
「全国の高校生を指導できる」ということの意味
オンライン塾をやっていると、日本全国から相談をもらいます。
近くに薬学部に強い塾がない。
学校では薬学部について詳しい情報を得られない。
地方に住んでいて、志望大学の情報が少ない。
周囲に同じ薬学部志望の友達がほとんどいない。
そういった高校生もいます。
僕はYouTubeでも薬学部について発信しています。
全国の薬学部について、
偏差値。
倍率。
入試方式。
学費。
国家試験合格率。
就職。
研究。
過去問。
受験対策。
いろいろな情報を発信しています。
動画をきっかけに僕のことを知り、塾へ相談してくれる生徒もいます。
そしてオンラインなので、距離に関係なくそのまま指導が始まります。
最初は、
「○○県の高校3年生です」
という文字だけだった子が、
相談をして、
体験授業をして、
入塾して、
毎週話すようになって、
模試の結果を一緒に見て、
志望校について話して、
気付けばかなり長い期間関わっている。
そして今回のように、実際に会うこともある。
オンラインだから関係が薄いのではなく、
オンラインだからこそ、これまでだったら出会えなかった人と関われる。
今回、そのことを改めて感じました。
直接会うと、いつもの会話も少し違って聞こえる
普段オンラインで話している内容と、実際に会ったときに話す内容が劇的に変わるわけではありません。
受験の話もします。
学校の話もします。
将来の話もします。
でも、同じ会話でも、直接会うと少し違って感じます。
僕自身もそうです。
Zoomではどうしても、
「今日はここを確認しよう」
「次の模試までの計画を立てよう」
という目的があります。
限られた時間の中で、指導として必要なことを進めます。
でも直接会うと、もう少し余白があります。
何気ない話をしたり。
普段の生活が少し見えたり。
勉強とは直接関係のない話をしたり。
そういう時間の中で、
「ああ、この子はこういうことを考えているんだな」
と気付くことがあります。
これは、指導にも生きると思っています。
生徒の性格を知らずに、学習計画だけを作っても上手くいきません。
毎日細かく指示されたほうが頑張れる人もいれば、大きな目標だけ決めて自分で進めたい人もいます。
その生徒がどんな人なのかを知ることは、受験指導においてかなり大事です。
塾の先生は、生徒の高校生活の一部にいる
今回会ったときに、もう一つ感じたことがあります。
僕たち塾の先生は、生徒の高校生活の一部にいるんですよね。
高校生の3年間はかなり短いです。
高校に入学したと思ったら、気付けば文理選択があります。
高2になったら志望校を考え始めます。
オープンキャンパスへ行きます。
模試の判定が出ます。
高3になると、一気に受験が現実になります。
総合型選抜や推薦を受ける子は、夏頃から志望理由書を書き始めます。
周囲では進路が決まる人も出てきます。
一般選抜の人は冬まで勉強が続きます。
大学入学共通テストを受けて。
私立大学を受験して。
国公立大学の二次試験を受けて。
合格発表があります。
僕たちは、そのうちの一部分に関わっています。
でも、生徒からすると、その一部分が高校生活の中でかなり大きい場合もあります。
「先生にあのとき言われたから勉強を始めた」
「この塾に入ったから志望校を変えた」
「この大学を教えてもらって初めて知った」
そんなこともあります。
教育に関わる仕事って、思っている以上に責任が大きいです。
だから、
「合格すればいい」という話だけじゃないと思っています。
もちろん塾なので、合格することは最重要です。
そこから逃げるつもりはありません。
でも、
その受験を通して本人がどう成長するのか。
受験が終わった後にどう感じるのか。
大学へ行った後にどんな人生を歩むのか。
そこまで全部コントロールすることはできませんが、少なくとも目の前の生徒に対して真剣に向き合う責任はあると思っています。
生徒に会って、僕自身が元気をもらった
動画のタイトルには「幸せ」という言葉を入れました。
少し恥ずかしいですが、振り返ってもその言葉が一番近いと思います。
僕は普段、先生という立場で生徒と接しています。
勉強を教える側。
アドバイスをする側。
計画を作る側。
相談を聞く側です。
だから一見すると、
僕から生徒へ何かを与えている
ように見えるかもしれません。
でも実際は、全然そんな一方通行ではありません。
生徒が頑張っている姿を見ると、「僕も頑張ろう」と思います。
以前できなかった問題を解けるようになっていると、普通に嬉しいです。
偏差値が上がった報告が来ると嬉しいです。
第一志望に合格した連絡が来たら、めちゃくちゃ嬉しいです。
逆に、上手くいかないこともあります。
思うように成績が伸びない。
そういうときは僕自身も悔しいです。
塾生に直接会ったことで、
「普段自分がやっている仕事って、やっぱり人と人との仕事なんだな」
と感じました。
パソコンを使って。
Zoomを使って。
LINEを使って。
YouTubeを使って。
オンラインで全国から生徒を集めて。
かなりデジタルな仕事をしています。
でも、結局やっているのは、人と向き合うことです。
そこは対面塾でもオンライン塾でも変わらないと思います。
オンラインだからこそ、普段のコミュニケーションを大切にしたい
直接会う機会が少ないからこそ、普段のコミュニケーションはもっと大切にしたいと思いました。
オンラインでは、
生徒が何となく元気がない。
今日は返事が少ない。
最近LINEの報告が遅れている。
課題が進んでいない。
そういった小さな変化を見逃すと、距離が一気に開いてしまうことがあります。
「オンラインだから仕方ない」
ではなく、
オンラインだからこそ、こちらから気にかける。
これが必要だと思っています。
PharmAssistでは、授業をすることだけを指導とは考えていません。
今週何をするのか。
毎日の勉強が進んでいるのか。
計画が現実的なのか。
今のやり方で合っているのか。
必要に応じて修正していきます。
受験勉強は、授業を受けた時間だけで決まるものではありません。
むしろ、授業を受けていない時間をどう使うかのほうが大きいです。
週に2時間授業を受けても、それ以外の166時間を何も考えずに過ごしていたら成績は伸びません。
だから、日々のコミュニケーションが必要です。
今回実際に生徒と会ったことで、
その一つひとつのやり取りを、これからも大事にしたいなと思いました。
塾生全員に直接会うことは難しい。でも、それでも近い存在でいたい
PharmAssistには全国の生徒がいます。
なので、全員に直接会いに行くのは現実的には難しいです。
それでも、
「オンラインだから遠い存在」
にはしたくありません。
何か困ったときに相談できる。
成績が上がったら報告したくなる。
逆に上手くいかなかったときにも話せる。
志望校について迷ったら聞ける。
受験直前に不安になったら相談できる。
そんな存在でいたいと思っています。
僕自身、高校生のときに、
「あの人に相談してよかった」と思える大人との出会いは、その後にも残ると思っています。
全部の生徒にそう思ってもらえるとは限りません。
僕と合わない人だって当然いると思います。
でも、少なくとも僕の塾を選んでくれた生徒については、
「あのとき入塾してよかった」
と思ってもらえる仕事をしたいです。
僕にとって忘れたくない一日になった
普段なら動画を撮ったら、
「次は何の動画を撮ろう」
「この動画は何回再生されるかな」
「次はどの大学を解説しよう」
と考えます。
でも今回の動画は、少し違います。
再生回数とは関係なく、残しておきたいと思いました。
オンラインで毎週話していた塾生に初めて直接会った日。
画面越しでは何度も会っていたのに、実際に会うと不思議な感覚だったこと。
自分が普段やっている仕事について改めて考えたこと。
オンラインでも、ちゃんと人と人との関係は作れると感じたこと。
そして何より、
「この仕事をやっていてよかったな」と思えたこと。
時間が経つと、こういう感覚って意外と忘れてしまいます。
塾をもっと大きくしたいとか。
もっと多くの人にYouTubeを見てもらいたいとか。
もっと良いサービスを作りたいとか。
仕事をしていれば、次の目標はどんどん出てきます。
それ自体は悪いことではありません。
僕もまだまだやりたいことがあります。
でも、目の前の一人の生徒と向き合った時間を忘れたら、たぶん僕がやりたかった教育とは少しずつズレていく気がします。
だから、この日のことは残しておきたいと思います。
またいつか、別の塾生にも会いに行きたい
今回は一人の塾生に会いに行った日の記録でした。
今後、機会があればほかの塾生にも会ってみたいと思っています。
もちろん、直接会うこと自体が目的ではありません。
オンラインでも十分に指導はできます。
でも、
普段どんな場所で生活しているのか。
どんな学校へ通っているのか。
どんな環境で受験勉強をしているのか。
そういった部分を知ることで、僕自身もまた違った視点を持てる気がします。
何より、直接会えるのは普通に嬉しいです。
今はまだ高校生の生徒たちも、数年後には大学生になります。
薬学部へ進学したら6年間あります。
その後、薬剤師になる人もいるでしょう。
製薬企業へ進む人もいるかもしれません。
研究を続ける人もいるかもしれません。
高校生のときに受験を一緒に頑張った生徒が、その後どんな大人になっていくのか。
僕はそれを見るのも楽しみです。
塾は、受験が終われば契約としては一区切りになります。
でも、
「あのとき一緒に受験を頑張ったよね」
という記憶は残ります。
今回の一日も、僕にとってそういう記憶の一つになりました。
最後に
この記事は、薬学部受験の攻略法を探して読んでくれた人にとっては、少し変わった内容だったかもしれません。
でも、僕がどんな気持ちで塾をやっているのかを知ってもらうには、こういう記事もたまにはいいかなと思っています。
僕が運営しているPharmAssistはオンラインの薬学部受験専門塾です。
全国の高校生を対象に指導しています。
オンラインなので、普段は直接会うことはありません。
それでも、一人ひとりの志望校があり。
一人ひとりの成績があり。
一人ひとりの悩みがあり。
その向こう側には一人の高校生がいます。
今回、実際に塾生に会いに行ったことで、それを改めて実感しました。
受験指導をしていると、どうしても、
偏差値。
判定。
点数。
合格率。
という数字をたくさん見ます。
もちろん、それらは大切です。
でも数字だけでは、その生徒の全部は分かりません。
高校生活の中で何を頑張っているのか。
なぜ薬学部へ行きたいのか。
どんな薬剤師になりたいのか。
何に悩んでいるのか。
本人がどこまで本気なのか。
そういう部分まで知ったうえで、一緒に合格を目指したいと思っています。
そして、いつか合格したときに、
「頑張ってよかったね」
と言える関係でいたいです。
今回、初めて塾生に会いに行って。
やっぱりこの仕事、いいなと思いました。
動画を撮っておいてよかったですし、こうして文章にも残しておいてよかったと思います。
またいつか、別の塾生に会いに行ける日を楽しみにしています。
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