【面接・小論文対策】医療とAI ― 役割分担と“人にしかできない医療
目次
概要(テーマの要点)
AIは画像診断、創薬、電子カルテ解析、調剤チェックなどで活用が進み、医療の正確性・効率性・可及的早期の判断を支え始めている。一方、患者の価値観・不安・生活背景を踏まえた意思決定支援や、最終的な倫理判断・説明責任は依然として人が担う。AI=置き換えではなく、AI×医療人の協働が前提となる。
メリット(考えうる利点)
- 精度の向上:画像診断の見落とし減少、投与量計算・相互作用チェックの高速化
- 効率化:定型業務の自動化により、対面ケア・説明時間を確保できる
- 創薬の加速:候補化合物探索・毒性予測の高速化で開発コスト・期間短縮
- 地域医療の補完:専門医不足地域での遠隔診療支援やトリアージ支援
デメリット/リスク(考えうる課題)
- 説明可能性の不足:AIの判断根拠が不透明な場合、責任所在が曖昧に
- データバイアス:学習データの偏りが差別的結果や誤判定を生む可能性
- 過信・無批判な適用:AIの提示を鵜呑みにし、患者の個別事情を見落とす危険
- 個人情報保護:医療データの大規模利用に伴う漏えい・不適切利用の懸念
- 職能の形骸化:確認作業が中心になり、専門職としての思考力が低下する恐れ
高校生が考えるべきこと(思考の軸)
- 役割分担:AIが担う「計算・予測・検出」と、人が担う「価値判断・説明・共感」の線引き
- 患者中心:患者の価値観に基づく意思決定支援(Shared Decision Making)をどう支えるか
- 安全と公正:バイアス低減、誤作動時の責任、監査可能性(Explainability)の確保
- 将来像:薬剤師・医療者としてAIを“正しく使いこなし”、患者と社会にどう貢献するか
面接で想定される質問
- 「AIが医療に導入されることで、薬剤師(または医師・看護師)の仕事はどう変わると思う?」
- 「AIの誤判定が疑われる場面で、あなたはどう行動する?」
- 「患者さんがAI判断を不安がっている。どのように説明し、信頼を築く?」
- 「医療データの利活用とプライバシー保護のバランスをどう考える?」
- 「AI時代に、あなたが伸ばしたい専門性は何か?」
小論文の出題例
- 課題文型:
「近年、AIの医療応用が進み、診断支援や創薬に活用されている。一方で、判断根拠の不透明性やデータバイアスなどの課題も指摘される。AI導入の利点と課題を整理し、患者中心の医療を実現するために医療者が果たすべき役割を、あなたの志望職種の視点から論じなさい。(800〜1000字)」 - 資料読解型:
画像診断支援AIの感度・特異度、誤判定事例、患者アンケート(AIへの不安度)などの表を提示し、
「資料を要約した上で、AIの活用方針と安全・説明可能性を両立するための制度・運用上の提案を述べなさい。(1000字)」 - 立場提示型(是々非々):
「医療現場でのAI支援を“積極的に拡大すべき”という立場に賛成か反対か。賛否を述べたうえで、反対意見への反論も含め、現実的な運用条件を提案せよ。(800字)」
